鬼筆のスポ魂

阪急阪神ホールディングス誕生16年、角会長は低迷タイガースをどう見ているのか 植村徹也

阪急阪神ホールディングス株式会社の株主総会の会場に向かう株主ら=令和3年6月、大阪市内(撮影・岡本義彦)
阪急阪神ホールディングス株式会社の株主総会の会場に向かう株主ら=令和3年6月、大阪市内(撮影・岡本義彦)

「安心・快適」そして「夢・感動」を届けていただけるのは一体、いつの日になるのだろうか-。

阪神が両リーグ最速で30敗に到達した。25日の楽天戦(甲子園球場)に1対6で敗れ、49試合消化時点で18勝30敗1分け。試合後の矢野燿大監督(53)は「う~ん、(先発した西純矢投手が)やっぱり打たれるときには原因がある。もちろん経験のまだ浅い投手なんで、そういうところから学んでいってもらいたいなと思うけど。(打線の不振を聞かれ)流れ的にね、ちょっと向こうに持っていかれたままになったんで。もちろん、それでも(点は)取らなあかんし、言い訳できない」と話した。

今はコロナ禍で、虎番の試合後の監督取材は代表取材社のオンラインによる質疑応答。なので、両リーグ最速の30敗到達のコメントがなぜか?全くないのは代表取材社が聞かなかったからだと推察する。まあ、開幕9連敗から始まり黒星ばかりが先行する中で、今さら30敗到達にニュース性など感じないのも理解する。

阪神が2リーグ分立(1950年)以降、30敗到達が早かったのは1987年で43試合目(11勝30敗2分け、6月6日の大洋戦=札幌・円山)。最終成績は41勝83敗6分けの最下位。指揮官は吉田義男監督だったが、虎番との関係は黒星が積み重なる度に悪化した。あの当時のことを思えば、現在の阪神監督とマスコミの関係は随分とスマート?おとなしい?物足りない?…となるのかもしれない。

一方で、最近は〝静かな虎番〟よりも強烈な質問をぶつけてくる〝集団〟がいる。今年も6月15日に阪急阪神ホールディングスの定時株主総会が大阪市北区で開催されるが、チームの成績が悪いと株主からタイガース関連の質問が次々と飛ぶ。かつては阪神電鉄の特急の車体のカラーがオレンジ色だったことに関して「巨人のカラーやおまへんか」と〝追及〟された。

今年は指揮官が春季キャンプ前日の全体ミーティングで「俺の中で今シーズン限りで退任しようと思っている」と衝撃の退任表明を行い、キャンプ中には〝予祝〟とやらで胴上げの予行練習まで行った。球界の大御所からは「監督がシーズン前に退任表明するなんて考えられない。チームに悪影響しかなく、それを許したフロントもダメだ」と指摘していた。チームの選手年俸総額の約40%を占める外国人選手が成績不振で、外国人選手に対する依存度の高さも問題視されている。〝突っ込みどころ満載〟で6月15日を迎える。

5月13日には阪急阪神ホールディングスの決算発表が行われ、執行役員の阪神電鉄・佐々木浩専務が「まだシーズンは始まったばかり。諦めるには早い。これからの戦績次第。今の戦績によって収益に与える影響がマイナス方向に向くというのが、確定しているわけではございません」と話した。将来に期待感を持つのは理解するが、やはり決算発表の席でも中心的?な話題はエンタテイメント事業の中のひとつとなる阪神タイガースだった。

阪急ホールディングスと阪神電気鉄道との経営統合で阪急阪神ホールディングスが誕生したのは2006年10月だ。グループの経営理念は『「安心・快適」そして「夢・感動」をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献します』。他の事業については概ね、経営理念を実行できているのだろうが、阪急阪神ホールディングス誕生以降、阪神タイガースは一度もリーグ優勝を果たしていない。今季はまして「夢・感動」にはほど遠い。辣腕経営者の角和夫代表取締役会長兼グループCEOは〝荒れそうな〟株主総会を前に、どんな思いで低迷タイガースを見ているのだろうか。統合16年、季節は暑苦しい梅雨を迎える。

(特別記者)

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