【ソウル=時吉達也】慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」解決を確認した2015年の日韓合意をめぐり、韓国外務省は27日までに、合意発表前に元慰安婦の支援団体「挺対協」(現「正義連」)の尹美香(ユン・ミヒャン)代表(当時)と面会を重ね、内容を事前に説明していたとする内部文書を公開した。
挺対協は合意発表当時、声明で「被害者や関連団体に相談もなかった」と主張。尹氏はその後、事前説明があったことを認めた上で「意見聴取でなく一方的通告だった」と釈明していた。今回の文書公表で、「被害者を無視した合意」とする支援団体側の主張がさらに揺らいだ形だ。
公開された文書は、15年3月から同12月の合意発表前日まで、担当局長らと尹氏が面談した記録計4件。日本政府が10億円を拠出し安倍晋三首相(当時)が謝罪、反省の意を表明するなどの日韓間の主要合意内容を口頭で説明したと記載されていた。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去に関する議論も行われたという。
尹氏は今回の文書公開を受け、慰安婦像問題を「適切に解決」するとした項目など、「屈辱的な合意事項」に関する説明はなかったと反論した。
文書公開を求め韓国の保守系弁護士団体が起こした訴訟で、韓国外務省は今月中旬までに1、2審で敗訴。上告を断念し、文書の一部公開に踏み切った。上告断念については「日韓合意の順守に向けた新政権の立場が反映されたのではないか」(聯合ニュース)との見方も出ている。