米国務長官演説 台湾は歓迎、表現弱化に戸惑いも

蘇貞昌行政院長=台北(中央通信社=共同)
蘇貞昌行政院長=台北(中央通信社=共同)

【台北=矢板明夫】台湾は、対中政策に関するブリンケン米国務長官の演説をおおむね歓迎している。ブリンケン氏が台湾海峡の安定と平和を重視する姿勢を改めて強調し、中国による挑発的な軍事行動を批判したためだ。ただ、バイデン大統領が23日、有事の際に台湾防衛に関与すると発言したのと比べると表現は弱まっており、「米国の真意が分からない」と戸惑う声も一部で出ている。

ブリンケン氏は台湾問題について「われわれの政策は変わっていない。変わったのは中国の威圧が強まっていることだ」と強調し、「中国の言動が台湾海峡の平和と安定を脅かす危険性がある」と批判した。

台湾の外交部(外務省に相当)は演説直後、「台湾の安全に関する米国の約束を堅持する内容だ」とのコメントを発表した。台湾には米国との良好な意思疎通のルートがあるとし、演説内容について事前に説明を受けたことも明らかにした。

蘇貞昌行政院長(首相)は27日、ブリンケン氏の演説内容を踏まえ、中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に進入している問題についてこう述べた。「民主主義国は皆、中国の挑発行為を批判している。私たちは自分を守る力を強化しつつ、米国や日本など価値観を共有する国々とともに地域の平和を守っていきたい」

一方、バイデン氏が日米首脳会談後の記者会見で言及した台湾防衛への関与について、ブリンケン氏は演説で直接触れなかった。このため、台湾の親中派野党の関係者からは「米国の対台湾政策は二転三転しており、信用できない」といった声も出ている。

最大野党・中国国民党の立法委員(国会議員)、曽銘宗氏は台湾メディアに「米国の要人の発言が台湾の安全にどんな影響を与えるのかを検証する必要がある」と発言。台湾の安全保障問題が米要人の発言に振り回されているとの認識を示し、今後の情勢を注視する考えを示した。同党の前主席、江啓臣氏は「ブリンケン氏の発言内容はすべて想定内で中身がなかった」と一蹴した。

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