中国は王毅国務委員兼外相の太平洋島嶼(とうしょ)国歴訪を通じ、太平洋地域での影響力を確固たるものにしたい考えだ。南太平洋を自国の〝裏庭〟と認識してきたオーストラリアは憂慮を深め、米国とも連携して巻き返しを図る方針。太平洋が自由主義陣営と中国との対立の最前線と化している。(シドニー 森浩)
王氏が訪問する島嶼国7カ国のうち、ソロモン諸島とキリバスは2019年に台湾と断交して中国と国交を結び、中国傾斜が急速に進んでいる。特にソロモンは、ソガバレ首相が中国接近を推進し、国内では運動競技場建設など中国資本によるプロジェクトが進む。
ロイター通信によると、王氏は今回の歴訪を通じ、島嶼国10カ国との間で安全保障、貿易など幅広い分野での連携を目指す協定締結を目指す方針だ。協定の草案には、経済面での連携とともに「安保分野で交流、協力を強化する」との文言が盛り込まれている。既に中国は4月にソロモンとの間で中国軍駐留を可能とする安保協定を締結しているが、対象を他国に拡大する形となる。