吉川元農水相に有罪 鶏卵汚職 東京地裁「国民の信頼害した」

吉川貴盛被告
吉川貴盛被告

鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの秋田善祺(よしき)元代表(88)=贈賄罪などで有罪確定=から現金計500万円を受け取ったとして、収賄罪に問われた元農林水産相、吉川貴盛被告(71)の判決公判が26日、東京地裁で開かれた。向井香津子裁判長は「国政への国民の信頼を大きく害した」として、懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金500万円(求刑懲役2年6月、追徴金500万円)を言い渡した。

大臣在任中の収賄事件をめぐり1審で有罪判決が下されるのは、北海道開発庁長官在任中の収賄事件などで平成16年に実刑判決を受けた現参院議員の鈴木宗男氏以来となる。

向井裁判長は、秋田元代表が吉川被告の上着ポケットに現金をねじ込むなど渡し方が特異だったことや、吉川被告が受領を政治資金収支報告書に記載していなかったことなどから、吉川被告に「賄賂の認識があった」と認定。「政治献金と受け止めていた」とする被告側の主張を退けた。

その上で、業界に強い利害関係のある秋田元代表から繰り返し現金を受け取ったことは「農林水産行政の公正さに悪影響を及ぼす危険性が高く、非常に悪質」と指摘。受け取った現金を使い切っており、「利欲的な犯行だ」と非難した。

判決によると、吉川被告は平成30年11月~令和元年8月、鶏卵業界に便宜を図ってもらいたい趣旨と知りながら、東京都内のホテルなどで秋田元代表から計500万円を受け取った。

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