寄席の楽屋では、見習い期間を終え、楽屋入りした前座さんたちが日々修行に励んでおります。前座の基本は気働き。楽屋の師匠方が気分よく過ごすためにはどうすればいいか。それを考えながら行動することが、一番の仕事であり、修行だといわれています。
ですから、新米真打の私でも楽屋では前座さんたちが「師匠、師匠」と世話を焼いてくれます。荷物を運んでくれて、上着をハンガーにかけてくれます。座布団に座れば、お茶が出てくる。着付けも手伝ってくれますし、脱いだ着物も畳んでくれます。はなをかんだら目の前にゴミ箱がスッと出てきたり。
自分も前座のころにやっていたことですが、やってもらう側になると、ちょっと恐縮してしまう至れり尽くせりです。いろいろ世話を焼いてくれるのはうれしいけれど、新人の前座さんがもたもたしているときは、正直自分でやった方が早いなと思うこともあります。