元幹部に服従求め、権威付けも 習氏、党内引き締め

中国の習近平国家主席(新華社=共同)
中国の習近平国家主席(新華社=共同)

【北京=三塚聖平】中国共産党の習近平総書記(国家主席)が3期目続投を目指す今秋の党大会を控え、党内の引き締めを図る動きが出ている。党は退職した幹部に「政治的にマイナスとなる言論を広めてはならない」と習氏や党への服従を求める通知などを出した。中国官製メディアは習氏の権威付けを進める報道を積極化させており、党大会に向け内部の批判や反発を封じ込める構えだ。

中国国営新華社通信は今月15日、習氏の職務などを支える党中央弁公庁が発表した通知文書などで、退職幹部に対し「習氏を核心とした党中央の周囲に集まる」ことなどを要求したと伝えた。海外出国する際の手続きを厳格に行うことや、中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」などを使って党が退職幹部の「教育、管理」を行うことにも言及している。

北京の中国政治関係者は「党大会が近づくにつれて不満を持つ元幹部が、習氏に意見しようとすることも増える。それを見越した動きだ」と指摘する。夏には河北省の避暑地に党指導部や長老らが集まる非公式会議「北戴河(ほくたいが)会議」が開かれるとみられ、事前に元幹部に歯止めを掛ける狙いとみられる。今春には、朱鎔基(しゅようき)元首相ら引退した党幹部から習氏の3期目入りに反対意見が出たと海外メディアが報じている。

また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は19日、共産党が党幹部に対し、家族が不動産などの海外資産を保有することを禁じる通達を3月に出したと伝えた。保有者は昇進させない方針といい、習氏が党大会に向けて影響力を増すと同紙は指摘している。

政敵排除を進めた習氏に有力な対抗勢力は見られないが、「ゼロコロナ」政策が引き金となった急激な景気悪化などへの不満は党内でも増している。経済対策でにわかに存在感を増している李克強首相への期待も「一部の不満分子の間で増している」(党関係者)とされ、党内引き締めや習氏の権威強化がさらに進められるとみられる。

新華社は、習氏の指導者としての歩みを紹介する50回連続の特集動画の配信を23日に始めた。また、香港紙の明報は23日、習氏が党大会で「領袖(りょうしゅう)」という称号を得る可能性があると報じた。建国の父、毛沢東にも使われたもので、事実であれば、毛と並ぶ権威を演出する狙いだ。

会員限定記事会員サービス詳細