外来患者受け付けず カルテはスタッフや親族ばかり チェック体制の甘さ指摘も

常駐すべき管理医師が不在だったとして運営法人が書類送検された和クリニック=堺市北区中曽根町(一部画像処理しています)
常駐すべき管理医師が不在だったとして運営法人が書類送検された和クリニック=堺市北区中曽根町(一部画像処理しています)

外来診療中に常勤すべき管理医師が不在なのに常駐しているように偽装したなどとして、医療法違反容疑で運営する医療法人の男性理事(53)らが書類送検された和(なごみ)クリニックでは、飛び込みの外来患者を一切受け付けず、カルテにはスタッフらが患者として名を連ねていた。

訪問診療は実際に行われていたが、外来診療の実態はなかったとみられる。一定の外来実績があれば診療報酬が加算される仕組みを悪用した疑いもあるが、管轄する近畿厚生局は「実態把握は難しい」としている。

大阪府警によると、クリニックは令和元年7月以降、近畿厚生局に24時間往診が可能な「機能強化型在宅療養支援診療所」と届け出て運営していた。一定の要件を満たせば診療報酬が加算される仕組みで、在宅患者が95%未満(外来患者が5%以上)というのも要件の一つになっている。

ところが、クリニックの女性スタッフらは府警の調べに「理事の指示で口裏を合わせ、一度も来ていない管理医師(82)=医療法違反で書類送検=が診療所にいることにしていた。飛び込みの外来診療は一度もない」と説明。ホームページで週5日の外来診療をうたっていたが、実際は診療していなかったとみられ、堺市が立ち入り検査で回収した外来カルテの患者名はスタッフや親族らが大半だった。

すべて診療報酬の減額を免れるための偽装だった可能性があるが、捜査関係者からは、管轄する近畿厚生局のチェック体制の甘さを指摘する声も上がる。

近畿厚生局によると、医療機関が在宅療養支援診療所などとして届け出た後も、書類と実態の相違を確認する作業はほぼないという。担当者は「カルテや診療の明細表までは提出を求めていない」と釈明。その上で「500~600の医療機関から届け出があり、一つずつ精査することまでは到底できない。噓をつかれても確認できない」と打ち明けた。


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