ロシアのウクライナ侵攻は、天然資源やエネルギーを安定的かつ低廉な価格で確保する「エネルギー安全保障」を問い直す出来事となった。日本は、ガソリンや灯油、樹脂などの原料となる原油のほぼ全量を輸入に頼り、しかも原油輸入量の9割超を中東が占めている。しかし、さまざまな火種を抱えて不安定な地域である中東に頼りすぎることは決して健全とはいえない。中東への依存度の引き下げは可能なのか。
■ウクライナ侵攻で後退
「『中東一極集中』は、ロシア(のウクライナ侵攻の)問題が起こる前から、長年の課題だった」。石油元売り会社などでつくる石油連盟の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は4月20日の記者会見でこう語った。経済産業省の統計によると、日本の原油輸入量に基づく中東依存度は最も新しい令和2年度で92・0%に達している。