主張

北のICBM発射 世界に弓引くのをやめよ

北朝鮮が首都平壌近郊から日本海へ向けて、弾道ミサイルを断続的に発射した。

最初の1発は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる。日本の排他的経済水域(EEZ)外に着弾した。

バイデン米大統領が日韓訪問を終えた直後の発射である。日米、米韓首脳会談や日米豪印の「クアッド」首脳会合は、北朝鮮の核・ミサイル開発を批判し、完全な非核化に向けた協力を確認していた。

発射はこれら国際社会の声や国連安全保障理事会の決議に挑戦するもので認められない。

北朝鮮のミサイル発射は今年だけでも、巡航ミサイルを含めて16回目だ。北朝鮮は経済的苦境に加え、新型コロナウイルス禍に見舞われている。感染の疑われる「発熱患者」は延べ306万4千人超で、32万3千人超が現在治療中だという。

「民主主義人民共和国」を名乗りながら、感染の有無を調べる検査さえほとんど行っていない。自国民の健康や生活を顧みず、核・ミサイルにしがみつく金正恩朝鮮労働党総書記の独裁体制は異常というほかない。

岸信夫防衛相が「わが国や地域、国際社会の平和と安定を脅かすもので断じて許容できない」と述べたのは当然だ。松野博一官房長官は「今後、核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性がある」と懸念を表明した。

安保理決議を無視し、世界の平和も乱す核実験は許されない。北朝鮮は直ちに実験準備をやめ、核戦力放棄を約束すべきである。

ICBMとみられるミサイルは高い角度で発射され、550キロもの高度に達する代わりに飛距離を抑え、日本海に着弾した。通常の撃ち方なら米本土攻撃用にもなり得る。

バイデン氏が離日してからの発射は、北朝鮮が米国の軍事力を恐れつつ、自国の核・ミサイル戦力保有を認めさせるための対米交渉を欲していることを意味する。

北朝鮮は核・ミサイルで武装し、恐怖政治で自国民の人権を蹂躙(じゅうりん)し、ひどい暮らしを押し付けている。拉致した日本人を解放しようとしない。

日本は、同盟国米国や隣国韓国と連携して警戒監視に努めなくてはならない。経済と軍事の両面で対北圧力を強め、核・ミサイル放棄を迫るべきである。

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