「だから、なんだ」ということなのだろうか。今年の4月28日は、70年前に先の大戦で敗れた日本が主権を回復したサンフランシスコ講和条約が発効した日だった。連合国軍総司令部(GHQ)の占領から脱して70年の節目に際し、政府による記念式典はおろか、岸田文雄首相や自民党などの主要政党が何らかの声明や談話を出した形跡はない。
それだけ「日本の独立」は空気のように当たり前だからだ、と思いたいところだが、今後もそれが続く保証はない。横暴を極める周辺の国々を見れば明らかだ。
ロシアによるウクライナ侵略は、覇権主義の中国や弾道ミサイル発射・核開発を続ける北朝鮮と対峙(たいじ)する日本にとって対岸の火事ではない。そもそもロシアは日本の隣国であり、不法に占拠している北方領土で軍備を増強している。ロシアの侵略が導いた教訓は数多く、外交や防衛について不断の努力と国民の意識が重要となる国家の独立の維持は、決して当たり前ではないこともその一つだろう。