「後輩に道譲る」宇宙飛行士の野口聡一さん JAXA退職で会見

野口聡一さん(酒巻俊介撮影)
野口聡一さん(酒巻俊介撮影)

6月1日付で宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職する宇宙飛行士の野口聡一さん(57)が25日、東京都内で会見を開き、「後進の飛行士に道を譲りたいと思い、身を引く決意した。今後は研究・教育機関で、一人の民間人として宇宙を盛り上げていきたい」と語った。今後は宇宙飛行経験を活かし、民間の宇宙開発事業などに関わっていく方針という。

野口さんは、石川島播磨重工業(現IHI)のエンジニアを経て平成10(1998)年に宇宙飛行士に。その後、米スペースシャトル、ロシアのソユーズ宇宙船に搭乗して国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、宇宙大国の米露の技術をいずれも体得した初の日本人となった。

一昨年11月には、米スペースX社の新型宇宙船クルードラゴン(初号機)に米国人以外で初めて搭乗し、ISSに約半年間滞在。4度目の船外活動に取り組むなど、長年にわたって日本の有人宇宙開発を牽引(けんいん)してきた。

野口さんは会見で、「(宇宙に関して)フリーな立場で助言したり、ものを作ったりする方が、日本全体で見たときにプラスになると考えた。経験を色んな団体や企業に発信していきたい」と語った。

野口さんは「研究者」としての顔も持ち、母校の東京大で宇宙飛行士やトップアスリートが体験する極限状態が心にもたらす変化や、目標を達成した後に訪れる「燃え尽き症候群」の克服について研究。3度目の宇宙飛行後の昨年12月には東京大特任教授に就任し、「社会の生きづらさを生む障害を明らかにしたい」と抱負を語っていた。

JAXAの宇宙飛行士をめぐっては、野口さんを含め現在計7人が所属。平均年齢が50歳を超えるなど高齢化が進んでおり、JAXAは月や火星の探査を担う次世代の飛行士候補の選抜試験を行っている。

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