JR東日本と東武鉄道、自動運転でタッグ 共通仕様で早期実現へ

東京都内を走る山手線(JR東日本提供)
東京都内を走る山手線(JR東日本提供)

JR東日本と東武鉄道は、列車の自動運転の実用化に向けて仕様の共通化などで協力すると発表した。無線による列車制御システムや障害物検知装置など、自動運転に必要な保安装置の仕様の共通化を図り、早期の実用化とコスト低減を図る。

両社が24日発表した。想定しているのは、運転士を乗せず、車掌の代わりに緊急時の避難誘導にあたる「添乗員」を乗せる「GoA3」と呼ばれる自動運転レベル。

すでにJR東日本は、自動運転に対応した自動列車運転装置(ATO)の開発に着手。平成30年度から東京都内の山手線で終電後の時間帯に自動運転の試験走行を実施している。今年10月から約2カ月にわたり、同線で営業列車2編成(1編成11両)を使った実証運転を実施予定で、乗り心地などを確認する。

また複数のカメラを運転席に置き、線路上の障害物を即時に検知するシステムの開発にも取り組んでいる。

一方、東武鉄道は東京都足立区内を走る大師線で、早ければ令和5年度にも自動運転の実証試験を始める。東武も三菱電機と共同で前方障害物検知システムを開発。今年2月に南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)で夜間でもシステムが正常に働くかを確かめる検証試験を実施。車両の前照灯の光だけで、昼間とほぼ同等の検知性能があることを確認した。

東武鉄道が夜間に実施した前方障害物検知システム検証試験=2月1日、埼玉県久喜市の南栗橋車両管区(同社提供)
東武鉄道が夜間に実施した前方障害物検知システム検証試験=2月1日、埼玉県久喜市の南栗橋車両管区(同社提供)

列車の自動運転をめぐっては、このほか、JR九州が鉄道信号大手の日本信号と共同で、運転席に運転士の資格がない係員を乗せる「GoA2.5」と呼ばれるレベルの自動運転システムの開発に取り組んでおり、令和元年から福岡県内を走る香椎線で実証試験を行っている。

福岡県内を走るJR香椎線(JR九州提供)
福岡県内を走るJR香椎線(JR九州提供)

人口の減少とともに将来の運賃収入の減少が確実視されるなか、令和2年以降の新型コロナウイルスの流行で、鉄道業界を取り巻く経営環境が厳しさを増している。さらに少子高齢化により、業務での身体的負担が大きい運転士の不足も鉄道業界にとっての大きな課題だ。自動運転はそれらの解決策の切り札として期待されている。(松村信仁)



会員限定記事会員サービス詳細