英国の権威ある文学賞、ブッカー国際賞の最終候補6作品の一つに、川上未映子さん(45)の『ヘヴン』(講談社文庫)の英訳版がノミネートされ、日本の作品として初の栄誉に輝くかが注目されている。国籍や性別などの多様性を意識した翻訳文学賞として知られる同賞の歴代受賞者には、その後ノーベル文学賞を受けた作家もいる。26日(現地時間)に迫った受賞作発表を前に、川上作品の魅力と賞の行方を探った。
ノーベルと差別化
「川上さんは現代の日本文学を代表する非常に力のある作家。今回のブッカー国際賞ノミネートにも驚きはない」と話すのは、東京大の阿部公彦教授(英米文学)。一昨年の小川洋子さんの『密(ひそ)やかな結晶』に続く、日本の作家として2人目となる同賞の最終候補入りに歓迎の声が上がる。