高度33キロの成層圏へ気球を放出、通信に成功 「宇宙遊覧飛行」目指す

無線基板を付けた気球を飛ばす=19日、北海道大樹町(岩谷技研提供)
無線基板を付けた気球を飛ばす=19日、北海道大樹町(岩谷技研提供)

宇宙旅行というと、ロケットによる発射や厳しい肉体訓練が必要とされるが、そのイメージを打ち破り、気球を使った「宇宙遊覧飛行」の実現を目指すベンチャー企業がある。今月、無人の気球で高度33キロからの通信に成功。早ければ来年の有人遊覧飛行実現に向けて取り組みを加速させている。

このベンチャーは岩谷技研(札幌市北区)。宇宙遊覧飛行は、ヘリウムガスを使ったプラスチック製の気球で、気密性の高い客室を浮かべる計画だ。「宇宙への入り口」とされる高度25~30キロの成層圏へ2時間かけて上昇、その後1時間かけて遊覧し、1時間かけて降下する。

北海道大樹町から飛ばした気球(岩谷技研提供)
北海道大樹町から飛ばした気球(岩谷技研提供)

今月19日の試験飛行では、同社製の無線基板をひもでつないた無人の気球を放ち、最高高度33.1キロからの信号受信に成功した。気球は同日午前7時26分、北海道大樹町のロケット発射施設「北海道スペースポート」の1000メートル滑走路から浮上。9時25分に目標としていた高度25キロを超え、33.1キロへ到達した後、9時45分に釧路沖に着水した。

その間、無線基板が発した信号を地上で安定して受信し続けたという。最高高度は今年3月末に記録した18.2キロを大きく上回り、遊覧飛行の事業化へ足掛かりをつかんだ。

岩谷技研では今年度中に有人飛行試験も計画している。商用段階では6人乗りの客室を想定し、料金は1人1000万円程度を見込む。早ければ令和6年3月までのサービス開始を目指しているが、同社の担当者は「命にかかわることでもあるので、慎重に準備を進めたい」と話している。


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