訪日外国人観光客の受け入れ再開に向け、少人数ツアーを実施する国の実証事業で、ツアーの第1陣となる米国の旅行会社関係者ら7人が24日、成田空港に到着した。実証事業では新型コロナウイルス感染対策の国内ルールを訪日客にどう守ってもらうかの方策などを検証する。いかに受け入れ地域と訪日客との双方に抵抗感がない「ウィズコロナ下の日本旅行」を実践できるかが課題となる。
「ハワイでも感染対策で消毒やマスク着用はしているが、それらが日本で守られているかを確認したい」
成田空港に到着後、報道陣の取材に応じたハワイの旅行会社社長、ネディーン・シマブクロさんは、旅行者にとっても安心安全が確保されているかどうかを関心事項に挙げた。
ハワイとロサンゼルスから来た第1陣は2グループに分かれ、7泊8日の日程で中部や東北をめぐる。28日までに米国やタイなど4カ国から計約50人が順次入国する予定。
実証事業では感染対策の順守状況などを確認。ツアー参加者には訪れる先々でマスクの着用状況などを報告してもらったり、添乗員が写真で撮影して報告したりするという徹底ぶりだ。
海外より感染対策が厳しいとされる日本では、受け入れ再開後に訪日客がルールを守らないことも想定され、観光庁は「どういう伝え方をしたら守ってもらえるか方策を考えたい」と説明。ツアー終了後に参加者アンケートを実施し、今後策定されるガイドラインに反映させる。
最多の8ツアーが滞在する千葉県の担当者は「住民と旅行者の間で(マスク着用などで)感覚の差を互いに感じてもらえれば」と双方の理解促進を期待する。
ただ、今回の事業で受け入れの打診に無回答の自治体もあったといい、その理由に住民の機運が醸成されていない可能性もあるという。それだけに旅行会社関係者は「感染やトラブルなしに終えたい」と語った。(福田涼太郎)