「2つの五輪」が牽引 民放キー局全社増益

在京民放キー局の令和3年度決算が全社で増益となった。その背景には、新型コロナウイルスの影響で広告収入がふるわなかった前年度から、番組と次の番組の間に流れるスポット広告が大幅に伸びたことがある。昨夏の東京五輪、今冬の北京五輪と年度内に2度のオリンピックが行われたことも広告出稿を牽引(けんいん)し、コロナ禍でのテレビCM回復を印象付ける決算となった。

各テレビ局単体の3年度の売上高は、全社で前年度比マイナスとなった2年度から、5~16%程度増えた。

テレビCMによる放送収入の伸びが、売り上げ増に寄与した。特に広告市況が改善したことに伴ってスポット収入が大幅に増加し、フジテレビ=888億円(前年度比16・6%増)▽日本テレビ=1249億円(同18・1%増)▽テレビ朝日=935億円(同17・8%増)▽TBS=845億円(同21%増)▽テレビ東京=295億円(同28・9%増)-となった。

広告収入のうち、番組提供スポンサーから支払われるタイム収入も、五輪という大型スポーツイベントが年度内に2回あったことで好調。なかでも五輪に加え、サッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選や体操、新体操の世界選手権などを放映したテレ朝は前年度に比べ13・8%増の855億円のタイム収入を得た。

コロナ禍の巣ごもり需要で存在感を高めた動画配信サービスは3年度も勢いを維持した。日本テレビホールディングス傘下のHJホールディングスが運営する「Hulu(フールー)」の会員数は過去最高を記録。テレ朝とKDDIの共同事業として行われている「TELASA(テラサ)」も会員数を順調に伸ばした。フジが運営する「FOD(フジテレビオンデマンド)」も好調で、デジタル事業収入の増加につながった。

2年度に全社で減少となった番組制作費については、テレ東(前年度比17・2%増)、テレ朝(同12・3%増)など、増加の動きが目立った。(森本昌彦)

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