北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故で、国土交通省は24日、事故を起こした運航会社「知床遊覧船」(斜里(しゃり)町)に対し、海上運送法に基づき、旅客船の事業許可を取り消す方針を明らかにした。許可取り消しは同法に基づく最も重い行政処分で、事故を理由とした許可取り消しは初めてとなる。
事故は4月23日に発生。これまでに乗客乗員26人のうち14人の死亡が確認され、12人の行方が分かっていない。事故当日はカズ・ワンの出航前に高さ3メートル以上の波が予想される波浪注意報が出ていたが、出航判断の基準を順守せず出航していた。運航管理者の桂田精一社長(58)も事務所に不在だったほか、通信設備にも不備があるなど特別監査の結果、複数の法令違反が見つかっていた。
国交省は行政処分に必要な聴聞を行った後に許可を取り消す方針。