岸田文雄首相がバイデン米大統領を迎えた東京・白金台の八芳園での夕食会は、首相の裕子夫人にとって、ファーストレディーとしての本格的な外交デビューとなった。首相の「日本の美を伝えたい」(官邸関係者)との意を受けた裕子夫人は和服姿で茶の湯の点前を披露し、バイデン氏をもてなした。
裕子夫人は平成28年、首相の外相時代に広島市で開かれた先進7カ国(G7)外相会合でも和服姿で各国外相夫人を迎えた。当時も茶の湯でもてなしており、今回の夕食会でも白羽の矢が立った。
バイデン氏を迎えるにあたり、裕子夫人は茶席で使用する茶器を八芳園に備えているものか、普段から使い慣れているものかを悩み、最終的に使い慣れているものを使うことを決めた。会場も自ら視察するなど入念な準備を重ねた。
茶の湯だけではなく、語学も堪能な裕子夫人は首相も頼る存在だ。令和2年の自民党総裁選で敗れた不遇の時代も首相を支えた「糟糠(そうこう)の妻」がファーストレディーとしてのスタートを切った。(永原慎吾)