姿現した「経済安保同盟」 半導体、5G…バイデン氏歴訪で加速

日米豪印首脳会合で発言するバイデン米大統領=24日午前10時49分、首相官邸(春名中撮影)
日米豪印首脳会合で発言するバイデン米大統領=24日午前10時49分、首相官邸(春名中撮影)

バイデン米大統領はハイテク産業を擁する日韓の歴訪で、半導体などの供給網(サプライチェーン)を同盟国・友好国内に確保する取り組みを加速させた。経済安全保障の観点から中国依存のリスクを減らし、有事に強い供給網を作るためだ。日米豪印4カ国の「クアッド」による24日の首脳会合も、新興技術の協力強化で一致。米国を軸に民主主義国が連携する「経済安保同盟」の輪郭が浮かび上がってきた。

「4カ国は中核・新興技術の責任ある技術革新にコミットする」

米政府が24日発表した文書は、民主主義のクアッド4カ国が、ハイテク分野のルール整備や、業界標準規格の設定を主導していく姿勢を強調した。

中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が優勢な第5世代(5G)移動通信システムの標準規格では、「中国方式」の押し付けを回避する構えだ。

バイデン政権は日韓訪問で、経済安保をめぐる連携推進を重視。岸田文雄首相との23日の首脳会談では、両国が「志を同じくする国・地域と、半導体や先進蓄電池などの供給網強化で協力する」と表明した。

韓国とは21日、供給網の混乱を探知する「早期警戒システム」の協力で合意。供給網強化に関する閣僚級の定期会合開催も決めた。

経済安保で、高性能な半導体や蓄電池の重要性が高まるのは、産業競争力の観点からだけではない。ロシアによるウクライナ侵攻では、半導体の確保が戦況の行方を左右している。

ロシア軍は精密誘導ミサイルなどに用いる半導体の不足から、精度の低い兵器の使用を余儀なくされているとされる。日米欧が対露輸出を禁止し、ロシアの軍需産業が半導体を調達できなくなっているためだ。ウクライナ軍は米欧の精密誘導兵器を駆使し、ロシア軍に大打撃を与えている。

一方、米国が主導して23日に設立を宣言した新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF、アイペフ)」も、供給網を主要分野に位置づけた。

日米韓やクアッドで進んだ供給網強化の動きを補完し、IPEF参加国による緩やかな連合体に発展する可能性もある。

ウクライナ危機を受けた対露制裁では、敵対国に先端技術が流れるのを防ぐ輸出管理の重要性が再確認されている。新興国では厳格な輸出管理を進める行政能力に欠ける場合もある。日米の先進国が支援して「仲間」を増やすことで、途上国を通じた「抜け穴」のない輸出管理態勢を敷くことも期待される。(塩原永久)

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