「エアフォースワン」「マリーンワン」「ビースト」に熱視線 米大統領の移動に沸いた東京

日米友好祭が行われている中、米軍横田基地に着陸する米大統領専用機「エアフォースワン」=22日午後(植村光貴撮影)
日米友好祭が行われている中、米軍横田基地に着陸する米大統領専用機「エアフォースワン」=22日午後(植村光貴撮影)

22日に来日したバイデン米大統領は、多忙な日程を特別な移動手段で乗り切った。歓迎する人々の熱い視線が注がれたのは、大統領専用の航空機「エアフォースワン」、搭乗するヘリコプター「マリーンワン」、専用車両「ビースト」だ。空と陸を駆け抜ける特別な機体を多くの人々が目撃し、沸いた。バイデン大統領は24日夜、帰国の途に就く。

「空飛ぶホワイトハウス」

大統領が搭乗したエアフォースワンは22日夕、日米友好祭が開かれている最中の米軍横田基地に着陸した。大型旅客機のボーイング747-200Bをベースとし、執務に適したさまざまな設備を備える機体は「空飛ぶホワイトハウス」とも呼ばれる。

ボーイング社によると、大統領専用機は床面積約370平方メートル。会議室、ダイニングルーム、大統領と夫人の個室、執務室のほか、職員、メディア、空軍職員の作業場と休憩場所も設けられている。一度に100食を用意できる2つのギャレー(給仕室)は、必要に応じて医療設備にも変化するという。空中での給油も可能。ナビゲーション、電子・通信機器もベースモデルと異なる。

ヘリは5機編隊で飛行も…4機はおとり

横田基地で日本に降り立ったバイデン大統領が、そこから東京都心に向けて搭乗したのが、米海兵隊が運用する近距離輸送ヘリコプター「マリーンワン」だ。マリーンワンは複数種あり、今回使用されたのは「VH-3Dシーキング」と呼ばれる機体。製造元のシコルスキー・エアクラフトによると、VH-3Dシーキングは長さ約22メートル、高さ約2メートルで、乗客定員は16人。最高時速は約260キロメートル、航続可能距離は965キロメートルという。

都内上空を飛行する大統領専用ヘリコプター(マリーンワン)=22日午後、東京都港区(川口良介撮影)
都内上空を飛行する大統領専用ヘリコプター(マリーンワン)=22日午後、東京都港区(川口良介撮影)

米大統領が移動手段にヘリコプターを導入したのは、アイゼンハワー元大統領が別荘へ向かうために使ったのが始まり。時代を経て、現在では大統領のヘリを軍用輸送機に積載して外国へ運び、訪問先での移動にも用いられている。

米海軍ヘリコプター協会のウェブサイトは、マリーンワンが飛行する際には5機で編隊を組むと紹介している。大統領を保護するために4機がおとりになり、離陸後は隊形を変えるという。バイデン大統領の訪日に先立ち、19日午後にも都心へ飛来し、米軍施設で離発着訓練が行われていた。

なお、エアフォースワン、マリーンワンは大統領専用機を示すのではなく、本来、管制用語のコールサインを示す。このため、大統領が搭乗していない時は、この呼称は使用されない。

生物・化学兵器にも耐えられる「装甲車」

都内の移動に使われたのが米ゼネラル・モータズ社製のリムジン「ビースト」だ。キャデラックブランドや、大統領搭乗時のエアフォースワンにちなみ、「キャデラックワン」とも称される。

米バイデン大統領を乗せた大統領専用車両の車列=22日午後、東京都港区(岩崎叶汰撮影)
米バイデン大統領を乗せた大統領専用車両の車列=22日午後、東京都港区(岩崎叶汰撮影)

ビーストの仕様はベールに包まれている。公式情報は、米シークレットサービス(要人護衛機関)のウェブサイトでわずかに触れられているにすぎない。それによると、大統領専用車両は、1941年に防弾ガラスを採用、1963年のケネディ大統領暗殺後は車両全体が装甲化された。オバマ大統領時代の2009年に導入された車両は、暗号化通信も。

米メディアの報道によると、最新のビーストは2018年秋に登場。ドアは約20センチの厚さの装甲を採用し、防弾、防爆仕様となっている。さらに生物・科学兵器にも耐えることが可能。酸素供給システム、大統領と同じ血液型の血液も備え、緊急時にも備えているとしている。

今回の訪日でも、厳戒態勢下で警察車両に先導された米大統領の車列の中、ひときわ大きく黒光りしたビーストが異様な存在感を放っていた。(大澤昌弘)

フォト特集 ビースト→マリーンワン→エアフォースワン バイデン米大統領、帰国の途

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