「安全確保の仕組み破綻させた」 知床事故で斉藤国交相

観光船「KAZU Ⅰ」の沈没事故で、作業船「海進」によって海面付近までつり上げられた船体=23日午後3時4分、北海道・知床半島沖
観光船「KAZU Ⅰ」の沈没事故で、作業船「海進」によって海面付近までつり上げられた船体=23日午後3時4分、北海道・知床半島沖

北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故で、国土交通省は24日、事故を起こした運航会社「知床遊覧船」(斜里(しゃり)町)に対し、旅客船の事業許可を取り消す方針を明らかにした。海上運送法に基づく最も重い措置で、事故を理由とした事業許可の許可取り消しは初めて。特別監査の結果、多数の違反行為が確認されたため、事業を継続させると再び重大な事故を起こす可能性が高いと判断した。

斉藤鉄夫国交相は24日の閣議後記者会見で「違反行為が今回の重大な事故の発生と被害拡大の大きな要因となっている」と指摘し、「セーフティーネットが機能せず、輸送の安全確保の仕組みを破綻させた」と述べた。国交省は6月14日、同社側の言い分を聞く「聴聞」を北海道運輸局で実施した後、許可を取り消す。

国交省によると、特別監査は事故翌日の4月24日から実施。同社の桂田精一社長(58)らから聴取するなど調査した結果、①安全管理体制の欠如②出航判断の基準を順守せずに出航③通信設備の不備④運航中の定点連絡を行っていなかった-などが判明した。同社は運航管理の実務経験がほとんどなかった桂田社長を運航管理者に選任する虚偽の届け出をしていた。

同社が昨年5、6月に浮遊物との接触や座礁事故を起こした際も国交省が特別監査を実施しており、同社が同7月に提出した改善報告書では、運航管理者の桂田社長と常に連絡が取れる状態を維持し事故発生時に必要な措置を講じられる体制を確立するとしていた。

だが今回の事故当時、管理者の桂田社長は事務所に常駐しておらず、通信手段とした船長の携帯電話も航路上ではほぼ圏外だった。

このことから国交省は「安全管理体制の改善意識が見られない」と判断。事業許可を取り消す方針を決めた。

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