クアッド首脳会合

共同声明「現状変更に強く反対」 インド太平洋インフラ支援500億ドル

日米豪印首脳会合に臨む(左から)オーストラリアのアルバニージー首相、バイデン米大統領、岸田文雄首相、インドのモディ首相=24日午前10時32分、首相官邸(矢島康弘撮影)
日米豪印首脳会合に臨む(左から)オーストラリアのアルバニージー首相、バイデン米大統領、岸田文雄首相、インドのモディ首相=24日午前10時32分、首相官邸(矢島康弘撮影)

日本、米国、オーストラリア、インドは24日、4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合を首相官邸で開いた。共同声明では、東・南シナ海への海洋進出を強める中国を念頭に「現状を変更し、地域の緊張を高めようとするあらゆる威圧的、挑発的、一方的な行動に強く反対する」と明記。中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて途上国に影響力を拡大していることを踏まえ、インド太平洋地域のインフラ整備に約500億ドル(約6兆3800億円)以上の支援や投資を目指す方針も確認した。

対面の首脳会合は昨年9月の米ワシントン以来2回目。岸田文雄首相とバイデン米大統領、アルバニージー豪首相、モディ印首相が出席した。

4カ国首脳はロシアのウクライナ侵攻をめぐって協議し、「力による一方的な現状変更をいかなる地域でも許してはならない」との認識を共有。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携を確認した。

岸田文雄首相は記者会見で、「インドも参加する形でウクライナの悲惨な紛争に懸念を表明し、法の支配や主権、領土の一体性の原則はいかなる地域でも守らなければならないことを確認した」と述べた。ただ、インドはロシアと伝統的に関係が深く、声明はウクライナ情勢を「悲劇的な紛争」としつつ、ロシアを名指しした批判は避けた。

また、声明では、中国を念頭に「ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗する」と明記した。

4カ国は防災や気候変動対策を目的に、衛星情報を域内の各国に提供することでも一致。核・ミサイル開発を加速する北朝鮮に対して、完全な非核化に向けた連携を再確認した。

一方、首相は会見で、米国、英国、オーストラリアの3カ国によるインド太平洋地域の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に関し、「今入ることは考えていない」と述べた。同時に、日本として参加国との連携強化を進める考えを示した。

4カ国は来年のクアッド首脳会合をオーストラリアで開催することも確認した。

会員限定記事会員サービス詳細