巡ってきたチャンスを5番打者がものにした。阪神は五回まで3度も得点圏に進めながら無得点。重苦しい雰囲気が漂ったが、六回2死二塁から大山の先制打で均衡を破った。接戦を制する決勝打に「大事なところで打てたのがよかった。何より勝てたことがよかった」と声を弾ませた。
一回は1死一、三塁から佐藤輝が併殺に倒れ、四回は中野の三塁打で無死三塁としながら、中軸が相次いで凡退。五回2死一、二塁の好機では近本が空振り三振を喫した。日米通算185勝を誇る田中将を攻めながら、あと一本が遠い。そんな悪い流れを大山が不慣れな左翼守備から変えた。
六回2死一塁で、渡辺佳が放った左翼ポール際への飛球をフェンスにぶつかりながら好捕。「あれを捕るのと捕らないのでは天と地の差」と振り返り、直後の攻撃へ「その勢いのままいきました」。集中力を高めて打席に立つと、中野が二盗に成功した後、高めに浮いた変化球を逃さずにはじき返し、待望の先制点をたたき出した。
これで3連勝。1-0の勝利は今季初だ。交流戦初戦でパの首位チームに競り勝ち、「こういう試合を取りながら、自分たちのリズムにしていきたい」と矢野監督。苦しんでつかんだ1勝を上位浮上への弾みにしたい。(大石豊佳)