浪速風

北、メンツ優先のツケ

北朝鮮で拡大する新型コロナウイルス禍は、大規模な飢饉(ききん)を誘発する恐れがある。米農務省の推計によると、北朝鮮では昨年、人口の6割超にあたる1630万人が食料不足に直面していた。金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党総書記が今年初めに公表した談話で最も強調したのは、核兵器開発や外交問題ではなく「食の問題」解決だった

▶2020年1月に中国湖北省武漢でコロナの感染拡大が明らかになると、北朝鮮は真っ先に中朝国境を封鎖した。都市部以外の医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で「コロナが拡散したら終わり」(中国人貿易関係者)との危機感が強かったからだ

▶にもかかわらず、世界でコロナワクチンの大規模接種を行っていない国は「感染者ゼロ」を主張していた北朝鮮と、アフリカのエリトリアだけ。大規模な都市封鎖により、人力に依存する北朝鮮の農業はさらに打撃を受けるだろう。民生の改善よりも、核兵器開発と国家のメンツを優先する金体制のツケが回ってきた。

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