主張

クリーンエネ戦略 原発新増設から逃げるな

政府が脱炭素に向けた道筋を示す「クリーンエネルギー戦略」の中間整理をまとめた。

2030年代半ばまでの10年間に官民で約150兆円の投資が必要になると試算し、長期的な支援に取り組む方針だ。

岸田文雄首相が戦略の策定を指示した。50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロに抑えるための工程表と位置付けられ、年末までに最終的な戦略を取りまとめる。

中間整理では、脱炭素電源としての再生可能エネルギーと原子力発電について「最大限活用する」と明記した。再生エネに加え、原発も積極的に利用する方針を打ち出したことは、電力の安定供給や料金引き下げに資する点からも評価できる。

重要なのは、具体的な行動である。将来にわたって原発を活用するには、建て替え(リプレース)や新増設が不可欠である。政府はこうした取り組みからも逃げてはならない。

中間整理は脱炭素を推進するための投資額として、1年間で約17兆円の投資が必要になるとの見通しを示した。岸田首相は有識者会議で、政府として新たな国債を発行し、今後10年間で20兆円を支援する方針を表明した。

脱炭素の実現に向けて石炭や重油から電気やガスなどにエネルギー転換を図る設備投資は、初期の投資額が大きい。最初の補助金を高めに設定し、段階的に引き下げるなどの工夫が求められる。

政府は昨年10月、中長期の指針となる「第6次エネルギー基本計画」を決定し、原発については「可能な限り依存度を低減する」との従来方針を踏襲していた。今回のクリーンエネルギー戦略でそうした方針を転換し、原発活用を明記した意味は大きい。

だが現実は、国内の原発再稼働は10基にとどまり、原子力規制委員会の安全審査の停滞が再稼働の遅れにつながっている。原発を活用する方針を示した岸田首相は、規制委の審査を効率化する取り組みを急いでほしい。

基本計画では触れていなかった原発のリプレースや新増設についても早急に具体策を打ち出すべきだ。ロシアのウクライナ侵略に伴い、世界的にエネルギー価格は高騰している。こうした中で原発の活用は、わが国のエネルギー安全保障の確立にもつながることを銘記すべきだ。

会員限定記事会員サービス詳細