サル痘が欧米、中東で拡大 WHO「極めて異常」 ヒト間の感染警告

スイスのジュネーブにある世界保健機関の本部(共同)
スイスのジュネーブにある世界保健機関の本部(共同)

【ロンドン=板東和正】天然痘に症状が似ている「サル痘」の感染が欧米や中東で拡大している。世界保健機関(WHO)はヒトからヒトへの感染を認め、流行地域のアフリカ西部や中部に関わりのない感染者が相次いで確認されているのは「極めて異常」と指摘。子供や免疫力が低下した人が感染すれば重症に陥る恐れがあるとし、各国に警戒を呼びかけている。

英BBC放送などの情報では、サル痘の感染が22日時点で、英国やフランスなどの欧州のほか、北米、オーストラリア、中東イスラエルに拡大。アフリカ以外で感染が確認されたのは15カ国で、90人以上が感染している。日本などアジアでの感染事例は報告されていない。

WHOなどによると、サル痘は発熱や体の痛みのほか、顔や手足に発疹が出る感染症。通常数週間で治るが、子供や免疫力が低下した人は重症に陥る恐れがある。主にアフリカ西部や中部の熱帯雨林地域で起きている感染症で、ウイルスを保有した野生動物に触れることで感染するとされる。飛沫(ひまつ)や体液などを通じて感染する可能性もある。

WHOは21日に公表した声明で、流行地域であるアフリカへの渡航歴がない感染者が相次いでいるとし、「極めて異常な出来事だ」と分析した。「入手可能な情報では、密接な身体的接触によりヒトからヒトへの感染が起きていることが示されている」と指摘。感染者は今後も増加し、他国にも感染が広がる可能性があると予測。感染者の発見や隔離などを急ぎ、拡大を抑制することが急務と強調した。

WHO幹部は英メディアに、「サル痘の流行は性的接触を介して広がっているようだ」と述べ、人が集まる催しが多く開催される夏に感染者が急増する可能性があると警告した。

サル痘の感染が欧米などで拡大した要因は不明だが、アフリカで蔓延(まんえん)したサル痘のウイルスが変異して感染力が高まっているとの見方もある。

感染者が確認された米国のバイデン大統領は22日、韓国で記者団に「誰もが心配すべきことだ」と懸念を表明。どのワクチンが効果的なのかを見極める作業が進行中であるとした。

BBCによると、サル痘に特化したワクチンはないが、複数の国は天然痘のワクチンを備蓄している。天然痘ワクチンは症状が似ているサル痘に対しても、ある程度の感染予防の効果を発揮するとみられている。

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