岸田文雄首相とバイデン米大統領の共同記者会見の要旨は次の通り。
首相 米国は日本にとって自由、民主主義、法の支配といった普遍的な価値を共有する唯一の同盟国だ。日米同盟がわが国の外交・安全保障政策の要であることは言うまでもない。
ロシアによる非道な侵略に関し、力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所であれ、断じて許容できない。先進7カ国(G7)をはじめ国際社会とともに引き続き毅然(きぜん)として対応することを再確認した。ウクライナの政府と国民を全力で支えることを確認した。
中国については、最近の中国海軍の活動や中露両国による共同軍事演習などの動向を注視するとともに、東・南シナ海における、力を背景とした現状変更の試みに強く反対すること。そして人権問題を含めた中国をめぐる諸課題に引き続き日米で緊密に連携することで一致した。また、台湾に関する両国の基本的な立場に変更はないことを確認し、国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに両岸問題の平和的解決を促した。
北朝鮮については、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射をはじめとする核・ミサイル問題について深刻な懸念を共有した上で日米、日米韓で一層緊密に連携していくことを確認した。(北朝鮮による日本人)拉致問題の即時解決に向け、私から全面的な理解と協力を改めて求め、バイデン氏から力強い支持をいただいた。
地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、バイデン氏とは日米同盟の抑止力、対処力を早急に強化する必要があると再確認し、私からは日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明した。
来年のG7サミット(首脳会議)は武力行使も核兵器による脅かしも断固として拒否するG7の意思を歴史に残る重みを持って示したい。広島ほど平和へのコミットメントを示すのにふさわしい場所はない。
バイデン氏 日米は新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を発足する。この枠組みはインド太平洋における友好国と協力し、経済的競争力を確保するものだ。
私たちは安全保障協力の強化についても話し合った。米国は日本の防衛に完全にコミットしており、緊密に連携したい。日本の防衛力を強化しようという首相の決意に敬意を表する。
--中国が台湾に武力侵攻した場合、日本はどうするのか
首相 アジアにおいて力による一方的な現状変更は許してはならない。アジアで平和と安定が守られるよう、日本としては自らの防衛力を強化するとともに、日米同盟をしっかりと強いものにしていかなければならない。
--台湾有事では(米国は)軍事介入するのか
バイデン氏 はい。軍事力を使い、他のところを取り込んでいくことを許すべきではない。