APEC7カ国がロシア非難、5カ国は退席 貿易相会合

萩生田光一経産相(飯田英男撮影)
萩生田光一経産相(飯田英男撮影)

共同声明を出せず22日に閉幕した日米中や台湾など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易相会合では、ロシア代表の発言時に日本の萩生田光一経済産業相ら5カ国の代表が退席。会議後にはこれらの国々など同志国が共同でロシアを非難する報道発表文を出すなど、世界の対露姿勢が強まっていることを印象付けた。

「ロシアによるウクライナに対するいわれのない侵略戦争を最も強い言葉で非難する」。同志国による発表文では、ロシアをそう非難し、侵略行為により人道的状況の悪化や、食料やエネルギー安全保障にも脅威を与えていると指摘した。同志国は日本のほか米国、オーストラリア、カナダ、チリ、韓国、ニュージーランドの計7カ国で、このうちチリと韓国を除く5カ国は、会議中もロシア代表が発言する際は、抗議を示す意図で退席した。

会議後に記者会見した萩生田氏は、退席したことについて「議長国(タイ)に対しては心苦しいところもある」としつつ、「今起きていることの重大性をロシアの代表団にも分かってほしいということを優先した」と述べた。関係者によると退席した国とは、事前に申し合わせも行っていたという。

4月に開かれた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議でも、ロシア代表の発言時に米国とカナダの代表が退席したが、鈴木俊一財務相は退席せずに残った。鈴木氏は「ロシアがG20などに参加すべきでないと厳しく批判するため」と説明したが、一部でこうした姿勢を疑問視する声も上がっていた。

今回は非難の意思を退席という行動で示すとともに、言葉による批判は別途、同志国で公表した点で、ロシアに対する圧力は一段前進したといえる。APECは11月に首脳会議が予定されており、関係者は「(今回は退席しなかった)他の国とも同じ対応を取れるような働きかけをしていきたい」と話している。

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