バイデン米大統領が提唱した新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」が始動した。デジタルや供給網など現代的な分野で共通ルールを整備。自国の手法を押し付ける中国の影響力排除を狙う。中国と関係が深い東南アジアからも多数が加わり、発足時の参加国は13に伸びた。舞台裏では、米中の争いに巻き込まれたくないアジア各国の声を日本が代弁し、対中対抗に傾斜しがちな米国に働きかけるアシストがあった。(塩原永久)
バイデン氏がIPEFの構想を発表したのは昨年10月下旬だが、日米政府筋によると、同年夏には、米政権内で「原型が浮上していた」という。
春先には中国が、米国離脱後の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟申請に動き出していた。アジア経済秩序で、米国の存在感は低下。危機感を覚えるアジア関係国の声を受け、米国が重い腰を上げた。