反攻へ戒厳令90日間延長 ウクライナ 侵攻3カ月もなお長期化へ

ロシア軍との戦闘で損傷した学校を調べるウクライナ兵=20日、ウクライナ東部ハリコフ郊外(AP)
ロシア軍との戦闘で損傷した学校を調べるウクライナ兵=20日、ウクライナ東部ハリコフ郊外(AP)

ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナ最高会議(議会)は22日、25日に期限を迎える戒厳令と徴兵を可能にする総動員令を90日間延長する大統領令を承認した。また、同国のポドリャク大統領府長官顧問は現時点で停戦に合意する可能性を否定。戦況は一進一退の攻防が続いており、24日で開始から3カ月を迎えるウクライナ侵攻のさらなる長期化は確実な情勢だ。

総動員令の延長について、ウクライナ大統領府高官は「反攻は防衛よりも困難だ」と指摘。今後に反攻作戦を展開するための兵力確保が目的だと説明した。同国メディアが伝えた。

中断された停戦交渉の再開について、ポドリャク氏はロイター通信に「占領地域からの露軍の撤退が条件だ」と指摘。また、ロシアがウクライナに停戦条件として突き付けた東部の親露派支配地域の「独立」や、南部クリミア半島への露主権の承認といった領土に関する要求は受け入れない-と改めて明言した。

一方、露軍の占領下にある南部エネルゴダルのオルロフ市長は22日、SNS(交流サイト)上で、露軍に「市長」に任命された親露派のシェフチク氏の自宅を反露パルチザン(抵抗勢力)が爆破し、同氏が病院に搬送されたと発表した。

露占領下の南部メリトポリでも今月中旬、露軍の装甲列車を狙った爆発が起きたほか、露将校2人が殺害された。これについてウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は「パルチザンの活動だ」としていた。

最前線の東部ドンバス地域(ドネツク州とルガンスク州)では両国軍の激戦が22日も続いた。ウクライナ軍の発表によると、40以上の集落が露軍の砲撃を受け、少なくとも民間人7人が死亡。一方、ウクライナ軍も前進を図る露軍を11回撃退したとした。

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