主張

侵略国ロシア 「北方の脅威」にも備えよ

日本は、中国と北朝鮮だけでなく、ロシアという北方の脅威にも備えなければならない時代に入った。岸田文雄首相にはその自覚を持って、国民を守る態勢を構築してもらいたい。

ロシアのウクライナ侵略が続いている。日本や欧米諸国は厳しい制裁に踏み切った。ロシアのプーチン政権は反発し、日米欧を非友好国とみなしている。

侵略を止めるための経済制裁は当然だ。ただしロシアのような軍事大国を相手にするには、防衛上の備えも講じる必要がある。

フィンランドとスウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)へ加盟を申請した。ロシアに隣接するバルト三国やポーランドのNATO軍部隊は増強され、ドイツやデンマークなどは国防費の思い切った増額を表明した。

ロシアに対する抑止力を高めつつ、制裁や外交で停戦や和平を促していくということだ。

一方、岸田政権は制裁については先進7カ国(G7)の一員として足並みをそろえているが、新たな防衛上の手立ては、通常の警戒監視のほかは、ほとんど講じていないようにみえる。

ウクライナが日本からおよそ8千キロも離れているからといって油断してはいないか。

北海道の北に広がるオホーツク海には、対米核攻撃が主任務のロシアの戦略原潜が潜んでいる。ロシアはこれを自国の国際的地位と安全を保障する切り札と位置付けている。ロシアが不法占拠する北方四島は太平洋とオホーツク海を隔てている。

ウクライナとの戦争の行方がどうなるにせよ、ロシアの軍事的関心が日本の北方から離れることは当面なく、警戒は怠れない。

ロシアは3月に北方領土周辺で3千人規模の演習を行った。中露の海軍艦艇は昨年10月、日本を一周した。中露の戦略爆撃機は昨年11月と一昨年12月に日本海や東シナ海などで合同飛行した。日本への露骨な軍事的威嚇だった。

台湾や尖閣諸島など南西方面で緊張が高まったり、有事になったりする際に、ロシアが呼応して日本の北方の海空域で軍事行動をとる恐れがある。岸田政権は年末に国家安全保障戦略など戦略3文書を改定し、令和5年度予算案を決定する。南西方面に加え、北の守りにも同時に対処できる防衛力の整備は急務である。

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