なぜトヨタのミニバンはスゴいのか  新型ノア&ヴォクシーを考える

さすがにそれではユーザーに受け入れてもらえないと考え、1730mmまで絞った。先代の全幅は1695mmの5ナンバーサイズ(エアロパーツ装着車は1735mm)だったので、35mm幅広の3ナンバーサイズになってしまうが、許容範囲と判断。むしろ、幅広になったことにより、後ろから見たときのスタンスの良さが好感を持って受け止められると考えた。

そしてタイヤ&ホイールのサイズは先代の15インチまたは16インチから、16インチまたは17インチとワンサイズ上げた。「タイヤが小さい」という不満の声に応えるためでもあった。確かに、タイヤ&ホイールの大径化により、スタイル面のバランスははるかに良くなっている。

新型ノア/ボクシーは先代と同様、ガソリン車とハイブリッド車を設定する。シリーズパラレルハイブリッドシステムは新世代に刷新され、クラストップの燃費と心地良いなめらかな加速感を実現したという。

ハイブリッドシステムを新しくしたのは、ガソリン車よりもこっちを選んでほしいという開発サイドの思いが込められている(カーボンニュートラルの実現に近づくためにも)。

内側にスライドさせずにロングスライドさせることが可能になった2列目シートの採用も、「乗って快適」につながるポイントだ。

新たな価値を生み出す

もっといいミニバンにするためのふたつめの策は、数々の便利機能である。

“からくり”を用いて成立させた格納式ステップは、モーターを使う従来式に比べて格段に安価なオプション設定とすることに成功。バックドアにもからくりを使い、任意の場所で中間停止ができるようになった。

3列目シートは従来のようにストラップで固定する必要がなく、片手でワンタッチロックを可能にし、使い勝手を高めている。また、「硬い」と不評だった3列目シートは、薄型化したにもかかわらず、座面の仕様を変えることで座り心地を向上させた。

3つめの策は、視界の良さと先進安全装備だ。Aピラーの細幅化と大型三角窓の採用で、見通しが良く、安心して運転できる視界を確保。先進安全装備については、「お客様のご要望に応える」べく、トヨタが現在持つ最新の技術を惜しみなく投入した。結果、より幅広いシーンで安全運転をサポートできるようになった。

4つめのポイントは、スタイリングである。ノアには「標準モデル」と「エアロモデル」の2種類を用意。標準モデルは「堂々・モダン」がテーマだ。エアロモデルは「王道・アグレッシブ」をテーマに、従来以上の迫力を与えている。若年層や個性を重視するユーザーをターゲットとするボクシーは、「先鋭・独創」をテーマに、より個性的なデザインを採用した。

新型ノア/ボクシーは、20年におよぶミニバンづくりで培った経験をもとに、それだけ長い年月を費やしても「まだ足りない」点を改善し、新たな価値を生み出している。従来型より良くなることが高い確度で予測がつくから、3万台以上の事前受注に結びついたのだろう。じゃあ、内容を知ったあとではどうなるのだろうか? きっと、トヨタからうれしい悲鳴が聞かれることになるのだろう。

文・世良耕太

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