北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、「日本サルヴェージ」の作業船「海進」が22日夕、沈没現場に向け網走港を離れた。23日にも船体の引き揚げ作業が本格的に始まる。事故は同日で発生1カ月となるが、乗客乗員12人の行方は分からないままで捜索が続く。第1管区海上保安本部(小樽)は、運航会社社長や船長の業務上過失致死容疑で捜査を進めるほか、船体を分析して事故原因の解明を急ぐ。
カズワンは知床半島沖の水深約120メートルの海底に沈む。国土交通省や1管によると、海進の潜水士が23日以降、深い海で作業ができる「飽和潜水」により、船尾を少し持ち上げ、海底との隙間にナイロン製の帯を通す。そこに海進から下ろしたワイヤを取り付け、水深10~20メートルまでつり上げる。その後、網走港の近くまでえい航し、早ければ24日に海進の上に載せ、数日かけて船内の海水を抜いてから陸に揚げる。