鳥取砂丘(鳥取市)を「月面」に見立てたビジネス展開が始まった。きめ細かい砂質や起伏のある地形が似通っていることに着目し、月面探査車などの走行実験や疑似宇宙体験ツーリズムなどの計画が持ち上がっている。鳥取県や鳥取市は、宇宙産業創出とエンターテインメントの両面で、新たな砂丘の魅力発信を目指す。
「星取県」名乗りで意識
「鳥取県が宇宙産業を意識し始めたのは、平成29年の『星取県』名乗りのころ。その当時、鳥取砂丘で月面探査車の走行実験が行われたことも刺激になった」
こう話すのは、鳥取県庁に昨年4月に創設された産業未来創造課の井田広之課長補佐。星取県は美しい夜空を有することからの命名で、県は星空の美しさを観光や産業に活用することも目的に掲げる。
産業未来創造課の設置を機に昨年度は、県内外の企業や学校など約50団体が参加した「とっとり宇宙産業ネットワーク」設立、35歳以下の若者による宇宙産業創出のアイデア発表会の開催に取り組んだ。そして今年度は、県として「鳥取砂丘月面化プロジェクト」を打ち出し、宇宙産業創出へ始動した。
月面化プロジェクトは、砂丘地を月面開発に向けた実証フィールドとする試みだ。国立公園に指定されている鳥取砂丘は開発行為が禁じられているため、国立公園に隣接する鳥取大学乾燥地研究センター(乾地研)内に面積約1ヘクタールの月面実証フィールドを整備し、探査車走行や月面建設機械の操作試験などに活用してもらう。