ラテン語で水を意味するアクアは人々の生活に欠かせない存在。トヨタのアクアも街に溶け込む水のようなクルマで、日々の暮らしを優しく支えてくれる。世界一の燃費と運転のしやすさで、大ヒットとなったアクアが10年ぶりにフルモデルチェンジ。2代目も新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」や「快感ペダル」など数々の新技術を搭載する。初代のよさを受け継ぐとともに、より快適に、よりエコになった新型アクアに試乗した。
(土井繁孝、写真も)
SUVやトールワゴンに目を奪われがちだが、コンパクトカーは、自動車メーカーにとって屋台骨といってもいい位置づけ。ホンダのフィット、日産ノートなど各社、力の入ったクルマをラインアップする。
初代アクアは2011年に、ハイブリッド専用車としてデビューした。3ナンバーのプリウスより小さなボディーで大ヒット、13年から3年連続で国内登録車販売ランキング1位を獲得し、累計販売台数は187万台を超える。
今回お借りしたのは、4つのグレードの中で最上級となるZの四駆バージョン。本革ステアリングや10・5インチディスプレーオーディオが標準装備となり高級感あふれる。
ナビはオプション設定だが、スマートフォンのアプリとも連携できるので、好みに合わせて選んでほしい。
5ナンバーとはいえ車内は広い。大人の5人乗車はきびしいが、ファミリーでの旅行にも対応できそう。
インテリアの質感も高く、プラスチックの素材も巧みな表面処理で安っぽさを感じない。センターコンソールの10・5インチディスプレーは逆光でも見やすく、タッチ操作もやりやすい。
初代と同じくハイブリッドのみの展開で、エンジン周りのスペックはどのグレードも同じ。
新型で話題を集めたのが新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」と呼ばれるバッテリー。従来に比べてコンパクトなうえに、出力が向上する。モーターだけで時速40キロくらいまで走行できるという。
今回の試乗では高速道路や山道も走ってみたが、どんな道でも安心して運転できる。加速などは、クラスに見合った感じだが、ボディー剛性が高いので、しっかりした乗り心地が気持ちいい。
やや道路の凹凸を拾うのでゴツゴツ感を伝えてくるも、不快なほどではなく、山道でも安定感がある。見通しもよく、車幅もつかみやすいので、運転の苦手な人にもおすすめ。
さらに「快感ペダル」と名がつく機能が装備される。アクセルワークだけで、スピードのコントロールができるので、街中では楽ちんだ。完全な停車はできないので、最後のブレーキはお忘れなく。
ヤリスにパッソ、そしてカローラスポーツ…、コンパクトも充実のラインアップを誇るトヨタだが、やさしい乗り心地がほしいならアクアは間違いのない選択だ。
(次回はVW アルテオン・シューティングブレーク)