【シドニー=森浩、北京=三塚聖平】21日のオーストラリア総選挙で勝利した労働党が政権を発足させた際、最大の外交的課題は関係が極度に悪化した中国とどう対峙(たいじ)するかだ。労働党はモリソン現政権の強硬路線を維持すると主張したが、過去に中国に対して融和的だっただけに、党内には親中的な意見も根強くある。中国が日米豪印の枠組み「クアッド」切り崩しのため、労働党に秋波を送る可能性もあり、アルバニージー党首の出方が注目される。
「(労働党政権が誕生しても)豪州の利益を守るために後戻りすることはないだろう」。次期外相就任が予定されている労働党のウォン上院議員は13日の討論会でこう述べ、中国に対して強気の姿勢を維持すると強調した。
労働党は1972年に中国と国交を結んだ際の与党で、経済の連携強化を進めるなど対中融和姿勢を取ってきた。現在の労働党は基本的に人権問題や覇権的な海洋進出について中国に批判的で、選挙戦ではクアッドや米英との安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の重要性に触れ、「親中」との評判を払拭する戦術を取った。