百貨店のお中元商戦が口火を切った。「季節のごあいさつ」といった格式高いイメージが強いが、近年は身近な人や自分用に購入する若い世代が増えている。新型コロナウイルス禍で生活スタイルが多様化し、お中元のあり方にも変化が訪れている。
「定番商品は残しつつ、『お中元っぽくない』が今後のテーマだ」
そごう・西武の担当者は最近の傾向についてこう打ち明ける。定番は洋菓子やビールなどだが、コロナ禍の巣ごもり需要で商品の選択肢が拡大。年末のお歳暮も含めると、パンの詰め合わせといった5千円前後の商品が人気だという。
コロナ禍で気軽に人と会えなくなったことで、これまでお中元の習慣がなかった30~40代の需要が増加。オンラインを活用したより手軽な商品では20代も増えている傾向にある。
客層の若返り化に向け、こうした需要を取り込もうと百貨店各社もラインアップに工夫を凝らす。
大丸松坂屋百貨店は今年の夏休みも帰省を控える傾向が続くとみて、自宅用とカジュアルギフト用の商品を取りそろえた。高島屋は日常生活は戻りつつあるとして、人混みを避けるキャンプや自宅の庭で楽しむガーデンパーティーなどに向く商品も用意。東武百貨店は自宅にいながら旅気分を味わえる各地の商品をそろえる。
三越伊勢丹はプロの味を自宅で楽しめる冷凍弁当が人気だとして、今年からお中元のラインアップに加えた。松屋は値上げラッシュが続く中、「使える」をテーマに両親や友人など近しい人への贈り物を提案し、実用的で日常使いのできる品をおすすめに取り上げる。(飯嶋彩希、写真も)