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酷道や険道をひたすら走る「道との遭遇」

民放の番組配信サービス「Tver(ティーバー)」のご当地番組コーナーで、また面白いローカル番組を見つけてしまった。CBCテレビ(名古屋市)の「歩道・車道バラエティ 道との遭遇」。タイトルがナイス。もちろん元ネタは名作映画「未知との遭遇」だろう。

ただのダジャレというわけでもない。道は未知に通じる。歩いていった先に、知らない風景が待っているもの。さっそく視聴。お笑いコンビのミキの昴生(こうせい)さんと亜生(あせい)さんが進行役。初めて見た回は、「道マニア」の人が使われなくなった坑道を探索する内容だったが、コウモリ大量出現とか、かなりスリリングで楽しめた。

アップされた公式動画をたどると、岐阜の筋骨路地(細い路地が張り巡らされた場所)とか、使われていない道の話とか、いろいろとテーマがあるらしい。そのなかに「酷道(こくどう)」や「険道(けんどう)」(通行困難な国道や県道の通称)を走ってみたら、という企画が。

これがほんとに走るだけのシンプルさ。助手席でタレントがコメントしながら走るシリーズもあるのだが、私の好みはひたすら走るだけのほう。BGMとちょっとした字幕はつくが、ドライブレコーダーの映像に近い。それなのに退屈しない。ずっと見ていられる。汚れたガードレール、積もった落ち葉、散らばる落石。どこかで途切れるんじゃないのか…と不安になるような寂しい風景が続く。

酷道で思い出すのが20年ほど前の体験。奈良・吉野の山道を1人でドライブしていた。トンネルを抜けた途端に、道が消えていた。慌ててブレーキ。数メートル先の路面は断ち切られて、その先は泥の急斜面だった。どこかで通行止めの標識を見落としたらしいのだが、Uターンできるスペースもなく、細いトンネルやくねくね道をひたすらバックする羽目に陥った。

大自然の前では、人の営みははかない。便利すぎる都会に住んでいると、つい忘れがちだけれど。酷道や険道は、大事なことを可視化してくれる存在なのかも。(ライター 篠原知存)

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