勝ち名乗りを受ける丸い顔に安堵(あんど)の色が広がった。大相撲夏場所14日目、西前頭4枚目の隆の勝が11勝と星を伸ばし、優勝争いの先頭で千秋楽を迎えることになった。
過去7戦全勝と合口がいい霧馬山との対戦。頭から当たって押し込んだ後、相手の左差し手をおっつける我慢の展開になった。霧馬山が左を強引にねじ込みながら左脚で外掛けに来たところを、うまく突き落として勝負を決めた。
「とっさに体が動いてくれた。勝ててよかった」
この日の焦点は、前日の黒星から切り替えられたか否かだった。「負けた時点で吹っ切れて気が楽になった。今日も緊張したけど、昨日よりはマシでしたね」。周囲からも「自分の相撲を取れたらいいんじゃないか」「楽しんできな」と声を掛けられ、素直な27歳は、その言葉通り活力を取り戻した。
普段から自宅玄関に目標や課題を書いた紙を貼り、確認する真面目な性格。中学卒業後すぐ角界入りし、コツコツと地力を蓄えてきた。「ここまで来たら(賜杯を)取りに行くつもりで頑張っていきます」。初土俵から72場所目、大きな勝負に挑む。(宝田将志)