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昭和歌謡は懐かしくてホッとして前向きに

密かに楽しみにしている番組がある。昭和歌謡を特集した歌番組だ。BSで放送されていることが多く、ついつい見てしまう。青春時代にトップアイドルだった歌手のヒット曲はもちろんだが、演歌、フォークまでいろいろあって、本人が歌うこともあれば、他の歌手がカバーすることもある。気がつくと一緒に口ずさんでいて、何十年も前なのに歌詞もメロディーも覚えている。

最近も、NHKで深夜に美川憲一さんと研ナオコさんの「ふたりのビッグショー」、ケーブルテレビでも西城秀樹さんと野口五郎さんの同番組が再放送されていた。若い頃大好きだったアイドルが一番輝いていたときの歌は、その時代に自分を連れていってくれる。自分でも忘れていたような子供の頃の思い出や青春の一コマが、体の奥からよみがえってくる。歌の力を改めて感じる。

昭和の時代。ヒット曲は子供から大人まで誰もが知っていた。大みそかのNHK紅白歌合戦は家族そろって見るのが行事だったし、「夜のヒットスタジオ」や「ザ・ベストテン」で誰が出演したか、誰が1位だったかは翌日の学校の話題だった。テレビは一家に1台か2台。家族は同じ番組を見ていた。だからこそ昭和歌謡の番組を見るとき、亡くなった祖父母や学生時代の友人、別れてしまった恋人の面影など、全て含めて懐かしくよみがえる。

今や若者のテレビ離れが進み、音楽のジャンルは著しく多様化、細分化されている。彼らが年をとったときの懐メロは、私たち世代(昭和30年代生まれ)が今、感じているものとはまた違う感覚になるのではないだろうか。

昭和歌謡の番組には日本人が同じ時代を共有していたという感覚と郷愁がある。かつてのアイドルが50代、60代になって登場したとき、しわが出てきた顔に「同じ人間なんだ」とちょっとホッとしたり、「今でもかっこいい」と思わせてくれたり、いずれにしても前向きな気持ちになる。何より、彼らの歌に自分がどれほど励まされてきたのか、改めて知るのである。(典)

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