動物愛護法が改正され、今年6月からペットショップなどで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化される。専用のマイクロチップリーダーで識別番号を読み取り、データベースに情報があれば、飼い主がわかる仕組みだ。犬の殺処分数最多の香川県では、高松市内の学生動物愛護団体が、県内3市町にマイクロチップリーダーを寄贈した。代表の鈴木愛葉(まなは)さん(16)は「迷い犬・猫が飼い主に確実に戻れば殺処分は減る。どんな状況でも飼い主の元に戻れる仕組みをつくってほしい」と訴えている。
飼い主確認の向上期待
チップは長さ約1センチ、直径約2ミリの長円形の電子タグで、獣医師らが専用の器具で首の後ろ辺りに埋め込み、専用のリーダーで15桁の識別番号を読み取る。識別番号とともに、所有者情報や犬の特徴などを日本獣医師会のデータベースに登録し、飼い主を照合する。
環境省の統計によると、令和2年度に迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られた犬は2万7635匹、猫4万4798匹。平成7年の阪神大震災で多くのペットが迷子となったことを機にチップ装着の議論が本格化し、1990年後半から実用化されているが、装着率は低いという。
所有者が明確になれば、遺棄や動物虐待の抑制、行方不明時の返還や個体確認がより容易になるといった効果が期待されている。
運用面の懸念の一つが、行方不明の犬が事故で死んで廃棄物として識別作業をせずに処分されてしまうケース。防ぐには死骸処理や清掃の業者が必ず専用リーダーを携行し、読み取りを行うことが必要となる。
横浜市が動物死骸収集など委託契約に際し業者負担の専用リーダー使用を規定しているといった事例はあるが、全国的運用ルールは確立していないのが実情だ。