【ソウル=時吉達也】バイデン米大統領は20日午後、韓国北西部平沢(ピョンテク)の米軍基地に到着し、昨年1月の就任後初めてとなるアジア歴訪を開始した。21日には尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首脳会談を行い、核・ミサイル挑発を強める北朝鮮への対応などについて協議する。
韓国高官は今回のバイデン氏訪韓で、北朝鮮問題をめぐり「実効性のある抑止力をどう強化するのか、『アクションプラン』を示すこと」が最優先の課題だと述べている。21日の首脳会談後に共同声明の発表が予定されており、爆撃訓練などを含む定例合同演習の拡大などに言及する可能性がある。
北朝鮮はバイデン氏の歴訪期間中にも核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を強行する兆候が確認されており、日米韓は監視体制を強化している。
会談では日米韓3カ国の安全保障協力の強化についても議論される。韓国メディアは事前協議で、米側が日米韓の共同訓練の実施を韓国側に求めたと報道。韓国政府関係者は「事実でない」としている。
韓国大統領府はすでに、米主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加する意向を表明。経済安全保障での協力も主要な議題となる見通しだ。
バイデン氏は20日、尹氏とともに平沢市内のサムスン電子の半導体工場を視察。尹氏が米韓関係について「先端技術と供給網の協力を土台とした経済安保同盟に生まれ変わることを希望する」と演説すると、バイデン氏は「米韓同盟は域内の平和、安定、繁栄の核心軸だ」と応じた。