バイデン氏「日韓和解の使者」の役割目指す

韓国・平沢の米軍基地に到着したバイデン米大統領(中央)=20日(共同)
韓国・平沢の米軍基地に到着したバイデン米大統領(中央)=20日(共同)

対日関係の改善を掲げる韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談するバイデン米大統領は、かつて日韓関係の修復に動いたとされる。緊迫化する北朝鮮情勢を踏まえ、米政権は日米韓3カ国による連携を強化したい考えだが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権下で悪化した日韓関係には、しこりが残ったままだ。訪韓後に日本を訪れる日程を組んだバイデン氏は、「日韓和解」を後押しする〝使者〟の役回りを演じようとしている。(塩原永久)

「いかなる脅しにも断固として対応する。米韓日の3カ国間で協力したい」

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は19日、バイデン氏の日韓訪問を狙って北朝鮮が挑発的行動をとる懸念を受け、記者団にそう述べた。米韓、日米の2国間に加え、3カ国の連携強化を求める米国の立場を明確にした。

バイデン氏はオバマ政権の副大統領時代の2013年、冷え込んでいた日韓関係修復のため、安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領(いずれも当時)による首脳会談の下地作りに動いたとされる。

米政界には日韓の歴史問題への介入を避けたい向きがあるが、米シンクタンク「ジャーマン・マーシャル基金」のゴヴェラ氏らは米誌「フォーリン・アフェアーズ」で、バイデン氏が当時、「上級顧問らの忠告を拒んで」個人的に働きかけたと明らかにした。安倍-朴会談は15年に実現した。

バイデン政権は昨年1月の発足当初から、日米韓3カ国の「(外交)チャンネル(強化)に地道に取り組んできた」(米外交問題評議会のシーラ・スミス氏)という。

米政権はハイテク分野でも、中露への技術流出を防ぐ輸出管理体制で、日韓など関係国間の協力を重視している。米国内では「バイデン氏の歴訪は日韓改善を促し、3カ国間の協力を促進させる最適な機会だ」(シンクタンク研究者)との見方が強まっている。

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