水際緩和 観光業界複雑「外国人客期待したいけど」

観光客で賑わう浅草・仲見世通り=20日午後、東京都台東区(鴨志田拓海撮影)
観光客で賑わう浅草・仲見世通り=20日午後、東京都台東区(鴨志田拓海撮影)

政府が新型コロナウイルスの水際対策の緩和を発表し、コロナ不況の打撃を受けてきた各地の観光業界の関係者は、地域経済回復への期待を高めている。ただ、外国人観光客受け入れについては「タイミングや規模がまだ見えない」(旅行会社)と対応に慎重な姿勢も。欧米などで「脱マスク」が進む中、マスク着用の意識の差を巡って、外国人観光客と住民との間で軋轢(あつれき)が生じることを懸念する声も出ている。(外崎晃彦)

6月1日から入国者の上限が1万人から2万人に拡大され、全国の飲食業、旅館・ホテル業、旅行会社からは喜びの声が上がった。外国人観光客の受け入れについては、政府は感染状況を見極めた上で、来月以降、段階的に再開することを検討している。

東京・浅草で、企業や商店、町内会などが加盟する「浅草観光連盟」の冨士滋美会長(73)は、「宿泊業関係者にはうれしいニュース。インバウンド(訪日外国人客)向けの商品を開発販売する商店も待ち望んでいる」と話す。

浅草地域を含む東京都台東区では、平成30年の外国人観光客は約953万人だったが、コロナ禍の最初の年となった令和2年は計約145万人に急減した。冨士会長は、「最近は若い女性を中心に国内の観光客が増えてきていた。そこに外国人観光客が加われば、とてもにぎやかになるだろう」と期待を込めた。

富士山観光やワイナリーで、外国人観光客に人気の高い山梨県。県観光振興課の担当者は、「日本人は週末だけがメインだが、外国人は日本人の来訪が落ち込む1~3月にも来てくれる。観光事業者の安定した事業や雇用のためにもインバウンドは絶対必要だ」と語った。

一方、大手旅行会社のJTBは慎重だ。担当者は「海外からは直ちに訪日旅行の販売を再開したいとの問い合わせも多い」と前置きした上で、「どのレベル、どのタイミングで緩和されていくのかを見極めて対応していく」とした。

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