日米同盟「対等」目指せ 米ハドソン研究所前所長

米ハドソン研究所前所長のケネス・ワインスタイン氏
米ハドソン研究所前所長のケネス・ワインスタイン氏

【ワシントン=渡辺浩生】米政策研究機関ハドソン研究所の前所長で、トランプ米前政権下で駐日大使の指名を受けた知日派の国際政治学者、ケネス・ワインスタイン氏が産経新聞のインタビューに応じた。中露や北朝鮮の現状変更行為を抑止するため、「反撃能力」確保など日本が「普通の国」として自らを守る決定権を持つべきだと主張。日米の同盟関係が「対等」に深化するよう訴えた。

ワインスタイン氏はロシアのウクライナ侵攻を機に「中露、北朝鮮、イランの現状変更勢力が同時に西側主導の国際秩序を脅かす複雑な世界にある」と指摘。日米安全保障条約が発効した「70年前に想像もしなかった」課題を前に、日米同盟は「パリティ(同等)」を目指すべきだと訴えた。

バイデン米大統領は訪日を通じ、インド太平洋における同盟・友邦諸国の結束の強さを可能な限り示す必要があると強調。日米豪印のクアッド首脳会合の声明ではインドへの配慮で「ロシアを名指ししないだろう」としつつも、「中露とはっきり分かる現状変更への強い表現が用いられる」との見方を示した。

その上で「(米側と中露の)どちらに付くかで逡巡(しゅんじゅん)する国々に明確なメッセージを送ることが極めて重要」と指摘。バイデン氏が東京で発表する見通しの「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について、「労働や環境の基準など地域に不人気な分野で合意を求めるより、貿易、投資の促進に集中すべきだ」と強調した。

「目的はいかに中国と競争し、地域の国々との相互依存関係を創出することができるかだが、IPEFはそうしていない」と批判。「地域の供給網を確立し、中国と効果的に競争し、台湾を参加させる」ため、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を再検討すべきだとの考えも示した。

ワインスタイン氏は日本が「自らにふさわしい防衛の意思決定をすることは普通の国になる一環」とも指摘。米国の核兵器を同盟国に配備・共同運用する「核共有」については「議論する価値がある」と語った。

米国が提供する拡大抑止の信頼性を高める日本の役割として、①自らを守る強い意志の力②サイバー空間を含む防衛・安全保障のハイテク化③重層的なミサイル防衛④反撃能力の確保⑤米国の同盟ネットワークへの関与-を挙げた。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足は「日韓連携の絶好の機会」と指摘。台湾有事に備え「日米と台湾で調整する道を見いだす必要がある」と唱えた。

ケネス・ワインスタイン 2011~20年まで、ハドソン研究所の所長兼最高経営責任者(CEO)。米政府の貿易政策・交渉諮問委員会メンバー。20年3月にトランプ大統領から駐日大使に指名され、同年9月に上院外交委員会で全会一致で承認された。本会議の採決に至らず、21年1月に議会会期終了。安倍晋三元首相ら日本の政治家と交流が深い。ハーバード大で博士号取得。

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