露軍兵 初の「戦争犯罪」裁判 検察が終身刑求刑

ワディム・シシマリン被告(ゲッティ=共同)
ワディム・シシマリン被告(ゲッティ=共同)

ロシアによるウクライナ侵攻で、東部スムイ州で非武装の民間人男性(62)を殺害したとして殺人罪などに問われた露軍の軍曹、ワディム・シシマリン被告(21)の公判が18~20日、首都キーウ(キエフ)の裁判所で開かれた。被告は起訴内容を認め、検察側は最高刑の終身刑を求刑した。公判は侵攻した露軍兵の「戦争犯罪」を裁く初のケースとして、国際的にも注視されている。

ウクライナメディアによると、シシマリン被告は殺人罪のほか、一般市民への攻撃などを禁じた「戦争に関する法律と慣習への違反」罪で起訴された。

同国刑法は同罪の構成要件について、戦争犯罪などを定めた国際法と同一と規定。シシマリン被告の有罪が確定すれば、同国の検察当局や国際刑事裁判所(ICC)が進めている露軍による戦争犯罪の追及が前進する形となる。23日にも判決が言い渡される。

同国のベネディクトワ検事総長によると、現在、民間人殺害などで露軍兵45人に対する刑事裁判を予定。ほかに約1万1600件の戦争犯罪の疑いがあるとして証拠収集を進めている。

ウクライナメディアや米CNNテレビによると、シシマリン被告の所属部隊は侵攻開始から数日後にスムイ州に侵入。携帯電話で通話中の男性と鉢合わせた。被告は部隊の場所を通報されることを恐れた他の隊員から指示を受け、男性を射殺したとされる。その後、部隊はウクライナ側に投降した。

シシマリン被告は法廷で男性の妻に「許してもらえないことは理解しているが、申し訳ありませんでした」と謝罪。「当時、神経が高ぶっていたが、殺したくはなかった」とも陳述した。妻は終身刑を望むとする一方、被告が東部マリウポリの製鉄所から投降し、ロシアで捕虜となっているウクライナ部隊「アゾフ大隊」兵士との捕虜交換の対象になるなら、反対しないとした。

ロシアはアゾフ大隊を捕虜交換対象とせず、戦争犯罪人として訴追する準備を進めている。ただ、露メディアによると、露下院は20日までに、アゾフ大隊を念頭に「ナチス犯罪者を捕虜交換対象としない」と定める法案の審議を無期延期した。事後立法は無効とする「法の不遡及(そきゅう)の原則」により、法が成立してもアゾフ大隊への適用が困難なためだとみられる。

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