【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領が21日にバイデン米大統領と行う初会談は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権下で親北朝鮮と親中国に傾いた外交を日米韓協力の枠組みに復帰させることを宣言する場となる。ただ、北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、核実験強行の構えを見せる中、日米韓安全保障協力を実際に機能させるには乗り越えるべき課題もある。
「韓米同盟を元の軌道に復帰させる基盤を整えることが最も重要だ」。尹政権高官はバイデン氏訪韓に先立ちこう指摘した。尹氏自身、1月に外交・安保公約を発表した際、「文政権下で崩れた韓米同盟を再建する」と表明していた。
文政権は米韓同盟は強固だと強調してきた。だが、それが虚構だったことが、トランプ大統領時代の米国防長官、エスパー氏が最近出版した回顧録で明らかになった。エスパー氏は、トランプ氏が「韓国人を相手にするのはうんざりだ」と在韓米軍の撤退を主張していた実態を暴露。韓国に配備された米軍の最新鋭迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)を管理する米軍将兵がコンテナで寝起きするといった「劣悪な環境に置かれていた」ことについて、エスパー氏が当時の韓国国防相に対し「怒りのあまり、声を荒らげた」事実もつづられた。