中古車のサブスクに脚光 新車の納期遅れで需要拡大

新型コロナウイルス禍や半導体不足によるサプライチェーン(供給網)の混乱を契機に自動車販売が大きく変わり始めた。メーカーの減産に伴う新車の納期遅れで中古車需要が拡大し、価格が上昇したことで月々数万円の定額払いで利用できる中古車の「サブスクリプション」サービスの人気が高まっている。専門事業者に加え、大手メーカーのホンダやスズキも展開。トヨタ自動車系のKINTO(名古屋市)も今夏に参入する予定で、車のサブスクサービスの定着が進みそうだ。

新車で活用した後に中古車のサブスクサービスの展開を想定しているトヨタ自動車の新型の電気自動車(EV)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」
新車で活用した後に中古車のサブスクサービスの展開を想定しているトヨタ自動車の新型の電気自動車(EV)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」

「メーカーの納車遅れで、中古車を求める利用者が多い」

こう話すのは車のサブスクサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイル(東京都品川区)の広報担当者だ。

ナイルは令和元年12月に月額1万円台(税金や自動車保険料込み)から利用できる中古車のサービスを開始。半導体が不足した1年前から利用が増え、3年は前年比5・2倍と急増した。3月には申込者が10万人を突破、自動車産業DX事業部の伊藤真二氏は「サービスを拡充し、さらに利用者を増やしたい」と意気込む。

一方、自動車メーカーも中古車のサブスクサービスを強化している。2年1月から開始したホンダは4月に展開エリアを47都道府県378店舗に拡大し、対象車両数も増やした。月額2万9800円(同)から提供し、4月時点で約3900人が会員登録している。

スズキも1月から埼玉県と大阪府の2店舗でサービスを始めた。月額2万9000円(同)から提供する。今後順次取り扱い店舗や車種を拡大する方針だ。

さらに、新車のサブスクサービスを展開するKINTOが今夏から中古車の取り扱いに乗り出す。ハイブリッド車(HV)「プリウス」やミニバン「アルファード」など新車のサブスクで契約期間が終わって戻ってくる6車種を想定する。

小寺信也社長は「戻ってくる車はすぐに納められる。新車が手に入らないお客さまに提案したい」と話す。中古車を引き渡す店舗は当初は東京を中心に検討しており、順次広げる。同じ車種なら中古車の料金は新車よりも安くする。対象車種も順次増やす。

同社は12日から新型の電気自動車(EV)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」の申し込みの受け付けも始めた。新車で活用した後に中古車版で取り扱う考えだ。

自動車各社は半導体不足が当面続くと見ており、新車の納期遅れは長引く可能性がある。原材料価格が高騰しており、新車の値上げ観測もくすぶる中、中古車サブスクサービスの需要はさらに広がりそうだ。(黄金崎元)

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