見せ方工夫でファン拡大へ バレーボール・ワールドCEO

国際バレーボール連盟(FIVB)主催大会の運営や映像配信などを手掛けるマーケティング会社、バレーボール・ワールド(VW)の最高経営責任者(CEO)を昨年2月の設立時から務めるフィン・テーラー氏が来日し、産経新聞のインタビューに応じた。カナダのエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の重役も務めたテーラー氏は「バレーのエンターテインメントとしての魅力を高めていく」と意欲を語った。(奥村信哉)

――VWのCEO就任から1年あまりたった

「信じられないほど挑戦的な1年だった。新型コロナウイルス禍による東京五輪延期、ロシアのウクライナ侵攻(に伴う世界選手権などの開催地変更)もあった。だが、イタリアでバブル方式で開催した昨年の国際大会、ネーションズリーグ(NL)は非常に有意義だった。無観客だったが、どう放送していくか頭をひねり、『商品』としての質を高めて成功裏に終えられた」

--FIVBからVWに招かれた経緯は

「FIVBは必ずしもバレーを世界中に広め、プロモーションしていくことは得意でなかった。そこで私を選んだと理解している。VWの経営陣には自動車のF1や大手スポーツメーカー、音楽業界から来た方もいる。放送局、スポンサー、あるいは新たに生み出されるファンにとって、バレーを魅力ある新しい『商品』にしていくという考えの下でつくられた。バレーそのものは非常に魅力が高く、より多くの人に見てもらえれば、どんどん広がっていくと思う。ルールや試合のやり方を変える必要はない」

――バレーの魅力を高めるために取り組んだことは

「まずは特にテレビ向けに、チームベンチをバスケットボールと同様、画面の手前側から奥側に移した。ベンチでコーチや選手が何をしているか、ファンから見えやすくした。またサーブを打つまでの経過時間を明示し、試合運びを早くした。当然ながら照明、音響システムも向上させた」

――エンターテインメント業界での経験は生かされているか

「バレーを見ることもエンターテインメントの1つ。ファンにバレーを楽しんでもらうため、エンターテインメントとしての魅力を高めていかないといけない。世界中のファンがトップレベルの試合を見られるよう(試合映像をネット配信する)『バレーボールTV』をつくったが、今年は配信コンテンツをイタリア1部リーグ以外にも拡大する予定だ。NLでは、コートに足を入れることができるくらい近い場所に客席を設ける。大きな変革だ」

――日本のバレーボールの印象、期待は

「世界の中でももっともエキサイティングだ。石川祐希(ミラノ)らスターも抱えているし、試合のスタイルは男女とも活気にあふれている。日本のバレーはこれからよりよくなっていくと思う」

--7月にはNL男子の大阪大会があり、3年ぶりにNLが日本で開かれる

「コロナ禍で長く開催できなかったが、日本でできることを非常にうれしく思う。世界最高峰のチームが互いに競い合うのをぜひ楽しんでほしい」

2018年に新設されたバレーボールの国際大会、ネーションズリーグは男女とも日本を含む16チームが出場する。1次リーグは女子が31日、男子は6月7日に開幕。昨年までは1回戦総当たりだったが、今年は1チームが計12試合を戦い、上位8チームが決勝ラウンド(女子=トルコ、男子=イタリア)に進む。

真鍋政義監督が復帰した女子代表は1次リーグで米国、フィリピン、カナダを転戦。フィリップ・ブラン監督率いる男子代表はブラジル、フィリピンに続き、7月5~10日の大阪大会に参戦する。試合はバレーボール・ワールドが手掛ける「バレーボールTV」でライブ配信される。

■フィン・テーラー 1974年1月19日、オーストラリア生まれ。20年近く業務に携わったエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」では、ツアーショー部門の上級副社長などを歴任した。2021年2月、マーケティング会社「バレーボール・ワールド」の設立に伴いCEO就任。セーリングに打ち込み、00年シドニー五輪出場を目指したこともあったという。カナダ在住。

会員限定記事会員サービス詳細